すべての企業には「人権を尊重する責任」があると言われているわけですが、では、具体的に企業は何をすればいいのでしょうか。
国連の指導原則は以下の3つを挙げていて、各国の法制や日本政府のガイドラインでもこの3つがセットになっています。これが「ビジネスと人権」の“枠組み”ということになります。
② 人権デュー・ディリジェンスの実施
③ 救済の実施
人権方針の策定
企業が、人権尊重責任を自社の事業活動に定着させるための基礎として、内外に向けて表明するコミットメントのことです。要するに、「我が社は人権尊重責任を果たします!」という宣言を、トップを含む経営陣から社内外に向けて宣言して約束してくださいね、ということです。すべての従業員(社内)、取引先その他の関係者(社外)に向けた宣言(コミットメント)なので、文章化されて、公開される必要があります。
人権デュー・ディリジェンスの実施
人権デュー・ディリジェンス(人権DD)とは、「企業が、自社・グループ会社及びサプライヤー等における人権への負の影響を特定し、防止・軽減し、取組の実効性を評価し、どのように対処したかについて説明・情報開示していくために実施する一連の行為」のことをいいます(ガイドライン2.1.2)。
具体的取組の中心がこの人権DDいうことになるわけですが、「日々続いていく業務の中で人権侵害を起こさないようにしよう」という、そのための取組ですので、“1回やれば終わり”というものではなく、継続的に行う必要があります。
人権DDは、
① 負の影響の特定・評価
② 負の影響の防止・軽減
③ 取組の実効性の評価
④ 説明・情報開示
というプロセスに分解されます(指導原則17~21、ガイドライン各論4)。
難しいことを言っているようですが、要は、自社の事業を通じて、どこかで人権に対する悪影響(負の影響)が発生していないか、あるいは発生しそうなところはないかを見つけ出して(①)、もしそういう人権への悪影響が現実に発生していたり、発生しそうなところがあれば、それを軽減したり予防したりするための手を打ちましょう(②)、そして、その取組の効果を評価して(③)、次の改善計画につなげましょう(①に戻る)、ということを言っています。ここは特に奥が深いところので、詳しくは別の記事で説明します。
救済の実施
もし自社の事業活動が誰かの人権に負の影響を与えてしまった(与えている)ときは、その被害を受けている人を企業として救済しなければなりません。メーカーの製品事故や個人情報の漏えい事故などをイメージしてください。そこには、人権に負の影響を受けた(受けている)被害者がいます。そうした被害者を救済するメカニズムを構築しておき、万が一の場合にきちんと救済ができるようにしておいてください、という話です。
平たく言えば、対外的には、お客様相談室などの苦情処理窓口を設置することです。対内的(従業員向け)には、ハラスメントその他の労働環境について相談できる社内窓口や社外窓口(コンプライアンス・カウンター)を設置することです。これも詳しくは別の記事で説明します。
当事務所はコンプラインス・カウンター外部窓口の受託業務を行っております。ご関心のある方はぜひお問い合わせください。